ウミガメのスープ

海亀骨董店【美味しくなる鍋】

作者: 風木守人

ここは海亀骨董店。

少しくすんだ骨董品が、ほこりのかぶったままに、雑然と並んでいる。

水平でも転がっていくビー球、招く手がない招き猫、たまにガタッと動く小箱、髪の毛で編まれた麦わら帽子……などなど。

曰く付きの品からガラクタまで、所狭しとひしめいていた。

今日売れたのは【美味しくなる鍋】。

買った女はある勘違いに気付いた後、一切料理を作らなくなったばかりか、料理を口にすらしなくなったそうな。

いったい何があったのかねぇ?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

いいえ

美味しくなる鍋は、「鍋そのもの」が美味しくなるという効果を持ちますか?

no 美味しくなるのは、それで作った料理です

いいえ

女以外に登場人物はいますか?

no 女一人で成立します。

はい

非現実要素がありますか?

yes! 【美味しくなる鍋】の効果に限り、非現実です。

いいえ

その鍋で作られた料理を食べた生き物が美味しくなりますか?(ハーブ豚みたいな感じで)

no

いいえ

カニバリますか?

now 基本質問大事です。

はい

女はその鍋によって何らかのトラウマを植え付けられましたか?

yes

いいえ

カニバリますか?

no

いいえ

料理がおいしくなりすぎて食べるのがやめられなくなり,際限無く太る危険がありましたか?

no

いいえ

その鍋を上から落とすと、良い音が鳴って確実に笑いが取れるという、番組的に美味しくなる鍋ですか?

now

はい

美味しくなるのは、鍋で調理した食材ですか?

yes? 鍋で作った料理です

はい

女は料理を作ろうと思えば作れますか?

yes

料理などしなくとも、鍋に入れさえすれば美味しくなるから、原材料突っ込みますか?

yesno 近いですが、料理はきちんとしていました。

いいえ

毒物だろうが非食物だろうが何でもかんでも美味しくなって、食事自体が恐ろしくなりましたか?

no

女は、鍋で作った物以外の料理すら口にしなくなりましたか?

yesno? 女はあらゆる料理を口にしなくなりました。

はい

女は、美味しくなる鍋を手に入れた後、普通の鍋で料理することがありましたか?

yes! yes!

いいえ

どんな料理もおいしく感じるため、がんばっておいしい料理を作る生き甲斐がなくなってしまいましたか?

no

いいえ

鍋で作った物以外、食べても砂を噛むようで味がしなくなりましたか?

no

いいえ

鍋を持てるだけで効果がありますか?(かしこさ+13みたいに)

no

いいえ

15 その鍋で作った料理以外をとてもまずく感じてしまい、食べられなくなってしまいましたか?

no

いいえ

渡辺さんは出てきますか?

now なんなら女は渡辺さんでも構いませんw

いいえ

この鍋がなくなったら、もう私は何も食べることができない。かといって、この鍋を使い続ければいつか鍋が壊れてしまう。というジレンマに陥りましたか?

no

いいえ

ヒントより その鍋を壊してしまい、その鍋以外で作った料理を食べた時には魔法の味に慣れすぎて、もはやまったくおいしく感じられなくなってしまいましたか?

no でも惜しいですので、良質進呈

はい

自分の料理の腕が上がったと喜んでいたら、完全に鍋のおかげだったため、自身を喪失しましたか?

yes! 勘違いと料理を作らなくなった理由まではあっています

いいえ

味覚障害になる鍋でしたか?

no

いいえ

女は、買った鍋が美味しくなる鍋であることに気づいていましたか?

no そういう触れ込みで買いましたが、信じてはいませんでした

いいえ

美味しくなる鍋は味○素で出来ていて、味○素の成分が溶け出すことで料理がおいしくなっていたことに気付いてしまいましたか?

now しかし、味○素か味覇の話題が来たら先着一名様に差し上げると決めていたので良質進呈

いいえ

23より.「料理を口にしない」とは「料理の話をしない」という意味であり,自分の料理の腕を自慢していたのに鍋のおかげだったため自信を無くし,料理の話をしなくなりましたか?

no 言葉遊びませんw

いいえ

女は料理がだいぶ下手でしたか?

no

はい

女は料理に自信がありましたか?

yes

はい

23 魔法の鍋が壊れ、別の鍋で作ってみたところとてもまずく、自分の料理の腕が上がったと勘違いしていたことに気づいて料理にトラウマが出来ましたか?

yes そこまではあっています。しかし、他の料理を口にしなかったのは、怖くなったからなのです。

いいえ

どうあっても、鍋の味には適わないから、料理人諦めて鍋職人目指し始めましたか?

now

はい

魔法の鍋に頼りすぎて、普通の料理もできないほど料理の腕が落ちてしまいましたか?

yes 解説ではそのように。

他の料理すら口にしない、ということは、「食物による栄養補給を一切しなくなった」と言い換えても成り立ちますか?

yesno あまり重要ではないです。

いいえ

美味しくなる鍋が壊れたので普通の鍋で料理するしかなくなったが,普通の鍋で作った料理では満足できなくなり,料理していない未調理状態の食材しか食べなくなりましたか?

no

いいえ

素材本来のおいしさに目覚めたので、料理はせず生のまま食べるようになりましたか?

no

はい

核心鍋にかかればどんな原材料も美味しくなる。外出先で出て来た料理も、何が使われているか分かったもんじゃない、ですか?

yes!

いいえ

30 プライドの高い女は、他の料理を口にしたときにおいしいと感じてしまったら自分の料理の腕が落ちたことを認めなければならなくなるので、怖くてほかの料理も食べられなくなりましたか?

no

はい

30より.美味しくなる鍋を使っていたら料理の腕がなまってしまい,普通の鍋ではまともな料理を作れなくなりましたか?

yes

はい

核心他の人もこの鍋を使って無理矢理美味しくしていると疑い、他人の料理も味わえなくなりましたか?

yes

いいえ

鍋に頼っていた期間、自分の料理の腕が落ちてしまい、他の人の料理のほうがおいしかったらどうしよう、ですか?

no

答え

女はある路地の前で立ち止まった。知らない路地だ。今まで、こんなところに道があっただろうかと思う程、さりげないところにあった。

女は好奇心に誘われて、その路地に入った。しばらくいくと、その道の行き止まりに古臭い店があった。海亀骨董店という、看板を掲げている。

「……面白そうね」

女は好奇心に負けて、入ってみることにした。

水平でも転がっていくビー球、招く手がない招き猫、たまにガタッと動く小箱、髪の毛で編まれた麦わら帽子…。

不気味なものや明らかなガラクタも多かったが、一つの商品が女の目にとまった。

「【美味しくなる鍋】ねぇ……」

それは鉄の鍋ではない。形は小型の寸胴鍋だが、素材は土鍋に似ていた。何かの焼き物なのだろう。

「ゲンを担ぐのもいいかもね。それに、堂々と美味しくなる、なんて銘打っているんだもの。期待できるかも」

女はそれを買うことにした。少しだけ、店主であろうシワシワの老婆に鼻白みながらも、いくばくかのお金と引き換えに、鍋を買った。
逃げるように店を出た。

「重いわね。すみません、台車が何かをッ!?」

貸してください、という前に振り返った女は固まった。そこには店はなかった。

いや、そもそも路地などなく、自分のよく知る寂れた商店街の中に、女はいた。異物は鍋だけだった。女はタクシーを呼んだ。

それから、怖かったものの、女は自分の家に帰って鍋を使ってみることにした。

女はある小料理屋の店主だ。

それほど流行ってはいないが、潰れるほどではない。蓄えはほとんどないが、常連も多く、どうにかやっていけていた。

「女将さん、腕上げたね」

【美味しくなる鍋】を買ってからしばらくして、そんな風に、常連さんに褒められる事が多くなった。女自身も、自分の腕が上がったのを自覚していた。

おそらく、道具との相性がよかったのであろう。そうでなければ、【美味しくなる鍋】という名前から、良い印象を受けた自分が、知らず知らずいつも以上に、調子よく料理を作れたのだろう。女はそう思っていた。

それが勘違いだと気付いたのは、【美味しくなる鍋】が壊れた後だった。女が手を滑らせたせいで、鍋は粉々に砕けてしまった。

女は仕方なく鍋を捨てると、他の鍋を使って料理をする事にした。そして、その味に驚愕した。

ひどい味だった。塩は効きすぎているし、醤油は薄い。みりんと砂糖も、いくばくか足りていないだろう。しかし、女はいつも通りに料理をしたはずだった。

「本当に、【美味しくなる鍋】だったんだ!」

そう気付いた時には既に遅かった。
長く【美味しくなる鍋】で料理をしていた女の感覚は狂っていて、食べられる料理すら作れなくなっていた。

その日、女は店を休みにした。そして、それ以降、店が開くことはなかった。

女は恐怖していた。何度作ってもあの鍋の料理には届かない。いや、それどころか、あの味が忘れられず、他の料理が霞んでしまう。美味しく感じない。

鍋の料理が、食べたくて食べたくて仕方がない。よだれが止まらない日もあった。

女はそれほどの魔性の魅力を持つ料理に恐怖し、二度と料理を口にしない事にした。その料理が、不思議な力で作られたものでないとは、誰にも証明できないのだから、口にできなかった。

女は可能な限り調理されていない、ただ焼いただけの肉や生野菜、果物などを食べて余生を過ごしたという。

しかし、しかし。
実は女は分かっていた。目の前にある料理が、あの鍋のような、不思議な力で作られてはいないことが。






なぜなら、もしもそのような魔性の料理なら、食べることを我慢などできないだろうから。







要約

女は料理店の店主。【美味しくなる鍋】を購入したことで、次第に自分の腕が上がっていくのを喜んでいた。
しかし、それが鍋の不思議な効果であることに気づいて、料理をやめてしまった。その後、鍋の料理の味に取り憑かれ、鍋の料理を狂おしいほどに渇望する自分に恐怖し、一切料理を口にしなくなった。その料理が、何らかの不思議な力で作られていない保証がないのだから。
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