ウミガメのスープ

目が合うだけで

作者: 黒井由紀

男が、自身の恋人の住む家の前を通りかかると、三階にある自室の窓辺にいた恋人と目が合いました。
自宅にいる恋人と目が合うことは初めてであり、男は自身の幸運を喜びました。
そこで、男は恋人に手を振ったものの、恋人は男に手を振り返しませんでした。
すると、男は更に喜びました。
一体なぜ?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

いいえ

恋人は生きていますか?

NO! 恋人は死んでいます!

いいえ

恋人は男に気が付いていますか?

NO. 1より気付くことができません!

いいえ

犯罪要素はありますか?

NO. 犯罪要素はありません。

いいえ

男は勘違いをしていますか?

NO. 勘違いはしていません。

はい

男は恋人が死んでいることに気付いていますか?

YES. 気づいたからこそ……

はい

首吊りは重要ですか?

YES! 最重要です! 問題文に合うようにまとめてください。

はい

目が合った恋人は、三次元上に実態がありますか?

YES. 生身の人間です。

はい

登場人物は男と恋人ですか?

YES. それで全部です。

いいえ

死体と目が合う・・・・・・

NO. 食べません。

はい

男は生きていますか?

YES. 男は生きています。

いいえ

男は恋人を殺しましたか?

NO. ただし、死んでほしいと思っていました。

はい

核心男は恋人が自宅の窓辺で首を吊っているのに気が付き、手を振って死んでいるのを確認した後、厄介払いができたと喜びますか?

YES! 正解です!

はい

男は恋人と別れたいと思っていましたか?

YES. 疎ましく思っていました。

恋人はストーカーでしたか?

関係ありません。ただ、「関係性が恋人」というだけで、男は恋人のことを疎ましく思っていました。

答え

俺は、ため息をついた。彼女の家の目の前に差し掛かったからだ。一応、今俺とあいつは付き合っているが、もうほとほと嫌気がさした。別れようと何度も言っているが、その度に手が付けられないほど暴れて、周囲の物を壊しまくるので、別れを切り出す気力さえ失せているというのが現状だ。
思いだすだけで、頭が痛くなってくる。少しでも遠ざけようと目を逸らしながら通ったが、ふと、三階にある彼女の部屋に目をやってしまった。
彼女が、暗い部屋から俺を見下ろしていた。あいつのこういう目が、嫌いだった。口では都合のいいことを言っておきながらも、内心ではいつも俺を見下している。いつも……。
そこまで思うと、背筋を悪寒が駆け上った。何かがおかしい。いつもは、ここを通っても、彼女の姿が見えた試しなんかないのに。何故、今日は彼女の顔が見える?
不気味さに囚われながらよく目を凝らすと、彼女の首にロープが巻き付いているのが見えた。それは、頭の後ろを通って天井に伸びている。要するに、首吊りだ。
俺は、恐る恐る彼女に手を振った。しかし、彼女は手を振り返さない。それどころか、顔色ひとつ変えようとはしなかった。
もう、彼女は死んでいる。
そう確信した俺は、極力感情を表に出さないようにしながら、急いでそこから立ち去った。堪えつつも、解放された喜びに唇の端が持ち上がってしまっているのを、誰かに見られる前に。
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