ウミガメのスープ

音楽性とモテ度は別に比例しない

作者: 黒井由紀

俺は、ロックバンド“バーチカル・カーニバル”のボーカルのラテ。巷では結構人気が出ていて、CDの売り上げも上々だ。
今日は、地元サービスで、無料のちょっとしたライブを開いて演奏した。売れたからって地元を蔑ろにするヤツはロックじゃねえ、と俺は常々思っているが、まあ今はそんなことはどうでもいい。
妙なことが起こったのは、その後、観客との交流会をした時だ。いつもなら、ボーカルの俺や、ギターのラルの所に、サインや握手を求める女の子が列をなすんだが、今日はなぜか、ドラムのシンの所にばかり、女の子たちが列を作って色紙を差し出すんだ。
シンは、ドラムは上手いが地味なヤツで、前に俺と街を歩いていた時なんか、俺だけが声を掛けられたことまであるほどだ。
じゃあ、今日は何でシンの所にばかり列が出来るんだ?

※問題文ではキャラクターが喋っていますが、当問題は普通のウミガメです。質問には出題者が回答いたします。

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

今日のシンはいつもと同じ格好でいつもと同じように演奏しましたか?

YESNO. バンドメンバーは、いつもと同じ格好で、いつもと同じように演奏しましたが、ちょっとだけいつもと違うところはあったようです。

いいえ

地元であるということが重要ですか?

NO. 地元でなくても成立するけれど、地元の方がやや自然かな、レベルです。

はい

いつもと演奏する曲が違いますか?

YES. いつもとは演奏する曲が違いました。ただし、こちらから真相へ迫るのは、やや困難かもしれません。

いいえ

シンのところに並ぶ女の子達は大人で成立しますか?

NO! 大人では成立しません!

ラテ、ラル、シンは全員同じ地方出身ですか?

関係ありません。同じでも、違っても成立します。

はい

俺やらルのところに行列を作ることはスペース的に可能ですか?

YES. スペースなど、不可抗力で行列ができなかったわけではありません。

いいえ

シンは今日に限ってコスプレしていましたか?

NO. いつもと同じ格好で演奏しています。

シンが普段どこで働いているかは重要ですか?

YESNO. シン含め、バーチカル・カーニバルのメンバーは全員学生です。ただし、その方が解説を成立させやすかった、というだけで、他の職業では成り立たないわけではありません。

いいえ

地元のゆるキャラ重要ですか?

NO. ゆるキャラは関係しません。

いいえ

女の子たちの間で噂話が流れましたか?

NO. 噂話は特に流れていないようです。

はい

シンにはドラムス以外の特技がありますか?

YES! シンのドラムス以外の特技が重要です!

はい

4、 会場は小学校ですか?

YES! 解説では保育園ですが、それでも成立します!

いいえ

いきなりラップをはじめたシンだったますか?

NO. タイトル通り、「音楽性とモテ度は別に比例しない」のです。

並んだのは女の子だけではないですか?

YESNO. 女の子の方が多かったとは思いますが、他にいても不自然ではありません。

はい

シンは、ドラムス以外のパフォーマンスを披露したので、女の子たちに注目されましたか?

YES! そのパフォーマンスが重要です。ただ、「パフォーマンス」という単語だとちょっと想像しづらいかもしれません。

いいえ

女の子達が色紙を差し出したのは、サインを貰うためですか?

NO! サインが欲しかったのではありません!

いいえ

11、 それはドラムのスティックを使ったものですか?

NO. ドラムスティックは関係しません。

いいえ

シンはライブ中のMCで特技を披露しましたか?

NO. ぶっちゃけ、ライブ中の出来事は重要ではありません。

はい

核心シンは折り紙が得意だったので、女の子たちは色紙(いろがみ)を持って行列し、何か折ってもらおうとしていますか?

YES! 正解です!

お絵かき歌やりますか?

それでも成立しますが……

はい

核心色紙(いろがみ)で折り紙を作ってもらうためですか?

YES! 正解です!

答え

俺たちは、ロックバンド“バーチカル・カーニバル”のメンバー……である前に、市立垂直高校に通う高校生だ。人気があるせいで、いくつかの科目の単位数が足りなくなりつつあるが、細かいことは気にしない。
だが、そうやって余裕をこいていられるのもあと少しのようだ。担任に、「総合科目の単位数が足りないから、近所の保育園で演奏してこい。それで単位扱いしてやるから」と言われてしまったのだ。
そんなわけで、俺たちは近所のすいへい保育園で小さな演奏会(演目は、全部童謡だ)をした。
演奏だけでは大した時間にならないので、その後ガキどもの面倒を見ることになった訳だが、ロックばかりやってきた俺たちは、子供との遊び方なんて……えっ? シン?何だそれ?
「ええと、みずきちゃんは、指輪だっけ。で、平太君は飛行機だね」
そう言うと、シンは瞬く間に色紙(いろがみ)を様々な形に変えてみせる。最初は簡単なものを折っていたが、その内調子に乗り始めたのか、初〇ミクとか、昇り竜とかを折り始めた。子供たちの目は、最高潮に輝いていた。
鶴さえもまともに折れない俺たちは、ぽかんと口を開けてその様を見つめるしかなかった。
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