ウミガメのスープ

裸の王に喝采を

作者: ゴトーレーベル

その男は、300年に一人の天才と世間で称されている作家である。

高校時代に書いた処女作も含め、彼の本が出版されれば、常に売上は独走ともいえる1位となる。

そんな中、ある雑誌がこのような企画を立てた。
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現在の小説売上、上位3位。
1位の『ある日、海の見えるレストランで』の作者である彼。
2位の『海の青よりも深くあざやかに』の作者。
3位の『鯨がPONと鳴くのを聞いた?』の作者。

この3名の作品の中から、平均的と思われる出来の短編を1作ずつ選ぶ。
それらを作者名を伏せて何人かに読んでもらい、どの作品が面白かったか、順位をつけて選んでもらう。
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その結果。
なんと彼の作品は、評価が最下位になった。しかも、差をつけられて。

その雑誌が発売されてすぐに、彼はあるイベントに出演した。
満員の聴衆の前、司会者がその雑誌企画について触れると、彼は静かに、しかしはっきりと答えた。

「そんな企画はどうでもいいです。その中で小説というものが分かっているのは私だけですから」

この言葉を聞き、眉をひそめた聴衆も少なからずいた。
しかし多くの聴衆は、彼に対して大きな拍手を送ったという。

どういうことか。

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

はい

「その中で小説というものが分かっているのは私だけ」←その中とは、1~3位の作品を書いた三名の作家を指しますか?

Yes

いいえ

その男は、短編なんてほとんど書いていませんか?

No 3名とも、長編も短編もそれなりの量を書いています

いいえ

1位の天才は短編が苦手でしたか?

No 短編長編なんでもござれの天才です。

いいえ

男の書いた短編は別の小説の内容の一部でしたか?

No

△

男は雑誌企画の評価が最下位になることをほぼほぼ確信していましたか?

YesNo そうなるかもしれない、ということは覚悟していました

いいえ

雑誌の企画は、短編映画に関するものでしたか?

No 小説です

?

天才でなければ成立しませんか?

難しい質問ですがYes 凡百の作家ではハナシになりません

いいえ

男のペンネームは重要ですか?

No

いいえ

上位三作品の

No でも発想良質差し上げます

△

残りの二人は、現在存命ですか?

YesNo…… 今のところはそれだけ。

いいえ

男の作品をランダムに名前を伏せて読ませても、高評価になりますか?

No

?

拍手した聴衆は彼の評価が妥当だと思っていましたか?

いろいろな人がいたでしょうが、Yesに近いYesNo、というのが一番近いでしょうか

いいえ

2位、3位の作者は400年に一人の天才ですか?

No

いいえ

実は3位の作家は私ですか?

No 9参照

はい

男は小説家ですか?

Yes

いいえ

平均的な作品を選んだことは重要ですか?

No

いいえ

残りの作者の短編は国語の教科書に載るほど有名なものだったですか?

No

はい

問題文中の彼=男で良いですか?

Yes 「彼」と表記されているは1行目の「男」です

いいえ

本のジャンルは重要ですか?

No

△

どんな駄作でも男の名前で出版すれば売り上げ1位ですか?

YesNo ひょっとしたらそうかも……でも、男の小説はすべて一級品です。

いいえ

宗教が絡みますか?

No

△

眉を潜めた人々に共通していることがありますか?

YesNo まああるといえばあるかな……

いいえ

1位の彼、人工知能ですか?

No!!!

いいえ

男は300年間生きてますか?

No

いいえ

ハリポタの新聞的な感じで絵が動きますか?

No

いいえ

残り二人の作家は人間ですか?

No! (瞬殺基礎質がある問題なのでありました)

いいえ

「芸術」と「商売や利益」とのギャップは関係ありますか?

No

はい

核心2位、3位の作者は人工知能ですか?

Yes!!! 正解です!!!

★
?

コンピューターに星新一風のSSを書かせるプロジェクトは重要ですか?

そんなのあるんだ! さすがいろんなこと知ってますねー(てかこんな問題作るんなら私も知っとけ、と)

はい

核心23より 2位と3位の作者が人工知能ですか?

Yes!!

★
はい

核心2位と3位の作家(人工知能?)も他者に評価される小説を書く事はできる。だがこの中で真に新しい物を生み出すことが出来るのも、小説に魂を込めることが出来るのも人間である自分だけである。1位の男はそう自負していますか?

Yes! 解説にはそこまで文字数を使って詳細説明はしていませんが、まったくそのとおりです!ありがとうございます!

★

答え

人工知能が、チェスで人間のチャンピオンを負かしたのは1997年。将棋で人間のプロを負かしたのは2013年。
最初は人間に失笑されるような戦いぶりを示してから、しばらくの時間が過ぎたあと。

その後、人工知能は「芸術」と呼ばれる領域へも進出していく。
音楽。絵画。彫刻。映画。そして……小説。

人間に失笑されるような作品を作ることから始まり、しばらくの時間が過ぎたあと、「人工知能の作成した小説は人間を超えた」。
もはや普通の作家では太刀打ちできないと、誰の目にも明らかになった。

そこに天才たる彼、人の王たる彼が登場した。
彼が、彼だけが……人工知能の作成した作品に「対抗」しえた。

人々は彼の作品を支持した。
それは、純粋な作品の良し悪しを超えた、郷愁とも言うべきもののためだったか……
それとも、人工知能が芸術を土足で踏み荒らしたことへの反感のためだったか……


いずれにしても、聴衆はイベントにおける彼の言葉に「人間の作家」としての気概を感じ、拍手を送ったのである。


その後、人工知能がどれだけ進歩したか?
彼がどうなったか?
そして読者はどうしたか?

それらはみな……また別の話。


【要約】
2位と3位の作者は進歩した人工知能だった。
聴衆は彼の言葉に「人間の作家」としての気概を感じ、拍手を送った。


※
蛇足ですが……
「海の青よりも深くあざやかに」は、チェスのチャンピオンを負かしたコンピュータ「ディープ・ブルー」。
「鯨がPONと鳴くのを聞いた?」は、将棋の現役プロを初めて負かしたソフト「ponanza」から取っています。

— また長くなった6問目です。

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