ウミガメのスープ

熱量保存の法則

作者: トム坊やの書類送検

大好きな彼に包まれて、幸せな私はキスをした。

そのせいで彼はとっても不幸になった。

何故だろう。

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

はい

彼と私は人間ですか?

yes

はい

私と彼は人間ですか?

yes

いいえ

彼は死にますか?

no!

私との不倫が奥さんにばれましたか?

お、これは結果的にyes!

いいえ

他に重要な登場人物はいますか?

noで

私は彼にキスをしましたか?

これはnoとしておきましょう

はい

キスした場所は重要ですか?

yesです!

いいえ

ハグだけでも成り立ちますか?

no!というよりも

いいえ

夢ですか?

no

いいえ

包まれる=抱かれるですか?

noなんですねー。少し比喩に近い表現なんです。

はい

ワイシャツに口紅がつきましたか?

yes!ワイシャツでも成り立ちます!

はい

私は、彼の衣服にキスをしましたか?

yes!!

彼の服を抱きしめて、その匂いに包まれましたか?

おお、ほぼyes!!しかし抱きしめたわけではないのです!

不幸になったというのは男の家庭が崩壊するということですか?

結果的にはyesだと思います

いいえ

10より 二人羽織りますか?

no

いいえ

私は彼の衣服に包まれてキスしてしまう変態で、その服を見た彼の妻が激おこですか?

no!彼の妻はほとんど出てきません!

いいえ

口紅を見た奥さんが彼を問い詰めて浮気がばれましたか?

no!それよりも不幸なことが起きています。

17 キスマークの話が出回って彼の社会的信用がガタ落ちですか?

結果的にはyes ですが、キスマーク自体がそうさせたわけではありません

いいえ

くさかったので、彼は私に嫌われましたか?

no!むしろ彼の匂いは大好きでした!

はい

包まれたのは私ですか?

yes!どのようにして?

いいえ

私は大好きな彼の服を着たのですか?

no!着たのではありません。

いいえ

彼はすでに死んでますか?

no!

はい

私が死にますか?

はい、その通り、死んでいます!どのようにして?

はい

私は彼に殺されますか?

yes!!

はい

私のつけたキスマークが証拠になって彼は逮捕されましたね?

yes!!そういうことです。最後に死因どうぞ!

いいえ

毒殺ですか?

no

はい

核心窒息死ですか?

yes!!これを正解とします。40分まで補足をどうぞ

いいえ

私はどえむですか?

no( ̄ー ̄) ですが匂いフェチのド変態ではありますねー

……彼の服を顔に被せられた?

そういうことです。それだけでは空気が漏れてしまうので?

はい

29.濡れた状態の服…かな?

yes!!ついでに彼女の性癖的に、ただの水ではありませんでした。

私は本当に幸せですか?

他者から見れば圧倒的に不幸なんですが、幸せだったと思いますよ。詳しくは解説で!

核心30、えーと汗でびしょ濡れ?

そういうことです!完璧です!

答え

_
「おいあんまひっつくなよ。先に風呂に入らせてくれ。臭いだろ」
「ううん、好き。あなたの匂い、とても好き」

妻と子供がいなければ、彼女は最愛の女だったと思う。
特別可愛い顔ではないが、俺を愛してくれる。誰よりも、何よりも。

入社した当時の彼女はとても弱々しかった。
親にも誰にも好かれない青春を送り、性根が曲がりに曲がった陰気な女だったが、そこが嗜虐心をそそった。
彼女がしでかした仕事のミスを徹底的に責め、心神喪失した彼女を飲みに誘い、甘い言葉かけながら俺のちょっとし

た弱みを話しただけでイチコロだった。

一線を超えると、やたらと身体を寄せてきた。
俺の半世紀物の匂いが、とても安心するらしい。・・・父親代わりなのだろうか。
2人きりになるたびに、彼女は抱きついてきて、胸に顔をうずめてきた。

プライベートでも、仕事でも、俺のことを最優先に考える都合のいい女、それが彼女だった。
依存と呼べるほど愛されるのは、男にとってそんなに悪い気はしない。

「もっと、一緒にいたいなぁ。・・・離婚とか、だめ、かな」

依存する女ほど、男にとって邪魔なものはない。


彼女は俺の弱みを握っている。
不正まがいのことをさせた。手柄を横取りした。売上に計上されるはずだった金の行方も知っている。
唇で口を塞げないなら、永遠に口を塞ぐしか無い。

土曜日、10時。駅のロッカーに先ほどまで着ていたスーツ入りの紙袋を預ける。
薄手のTシャツにハーフパンツ、俺はどこにでもいるジョガーのおっさん。
そこから2時間をかけ、彼女のワンルームマンションまで歩く。
真夏の昼間、気温は37度。微熱で頭がクラクラする。

玄関で出迎えてくれた彼女は、嬉しそうに抱きついてきた。
外に出かける約束はしていないはずだが、化粧も服装も華やかで、可愛らしい。
「先に風呂に入らせてくれ。汗でびっしょびしょなんだ」
誰かに見られたくない。すがる彼女を引き剥がし、さっさと室内に入る。

脱衣所でTシャツだけを脱ぐ。
風呂はすでに湧いていた。柑橘系の入浴剤が香る、40度設定でちょうどいいお湯。身体は流さない。
物音をたてないよう、こっそりと脱衣所を出る。

12時15分、針は直角を示す。
キッチンからはフライパンでハンバーグを焼く香りがする。俺の大好物。
エプロン姿で、嬉しそうに調理する彼女の背後にこっそりと近づく。



piiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!……

沸騰し、蒸発の始まりを告げるやかんの笛。

汗で濡れたシャツが彼女の顔に巻きつき、離れない。

彼女は身をよじらせる程度に抵抗はするが、声はあげず暴れたりはしなかった。

体力がなくなると俺の方に寄りかかり、大きく荒い息をするのみ。


-ふいに、初めてここに来た時のことを思い出した。
甘えてきた彼女に膝枕をし、頭を撫でてあげたこと。
何故か彼女は大粒の涙を流し、ぐずりながらそのまま眠ってしまったこと。
とても安心しきった寝顔で、そんな子供っぽいところに惹きこまれていたことを。

Biiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!”加熱を停止します。”
IHヒーターは温度の異常を察知し、事の終わりを告げた。

彼女の死に顔は、なぜか嬉しそうだった。




生ぬるい温もりが残ったシャツを着て、部屋を出た。以降の記憶がない。
心拍数が異常だ。胸が締め付けられるように痛い。
気がつけば、警察に事情を聞かれ、話が頭に入らず、ボーっとしていた。
女の刑事が何かに気づいたようで、シャツをめくりあげられる。

裏地、それも左胸の位置に、彼女の唇がべったりとついていた。

そしてすべては明るみに。俺は暗がりに。

ただただ後悔や自己弁護、愛への自覚など、生ぬるくって気持ち悪いものが、ずっと、ずっと、身体から離れなかった。
保存しました

参加者に解説を表示中。各自が封を開けます。

💬 参加者チャット

この問題、気に入りましたか?

📺 配信・対面での出題にご利用いただけます。ご利用のルール(出典・改変について)