ウミガメのスープ

ある患者の噺

作者: トーマ

難病に罹った男がいた。
手術の結果、彼の病は完治する。

しかし彼は死んでしまった。
一体なぜ?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

非現実要素はありますか?

yesno 病気は非実在のものでもあり得ますが話としては現実的なものだと思います

手術しなければ、男は死にませんでしたか?

yesno 運が良ければ生きられたかもしれませんが、投薬で命をつないでいる状態だったので時間の問題だと思います

いいえ

病が治ったから死んでしまいましたか?

NO 病が治った事が原因ではありませんが、うがった見方をすれば一概にそうじゃないとは言えないかもしれません。

いいえ

彼は難病の他に別の病気を持っていた?

NO 男が患っていたのは難病だけです

いいえ

死因は病死ですか?

NO 彼は病気が原因で死んだわけではありません

いいえ

彼は術後の後遺症に悩み安楽死を選びましたか?

NO 後遺症もない、完璧な手術でした。また、安楽死は自殺ほう助になってしまうため選択できません。ですが・・・

はい

彼は自殺しましたか?

YES 結果、彼は自殺しました。しかし一体彼に何があったのでしょうか?

いいえ

彼以外に重要な人物は登場しますか?

NO

いいえ

彼以外に重要人物はいますか?

NO 重要人物は彼一人です

いいえ

彼は自分のミスによって死にましたか?

NO 彼は明確な意思を以て自殺しました

いいえ

移植手術で、ドナーの愛する人が死んだからですか?

NO ドナーは関係ありません

いいえ

手術後、人類は滅んでいましたか?

NO いつもと変わらぬ日常でした。彼以外は。

いいえ

難病の特定は重要ですか?

NO 難病自体はさして重要ではありません。

いいえ

治療費がとてつもなく多額でしたか?

NO ある一定の難病は治療費がかかりません。彼のケースはそれだと考えてください。

手術は彼の意思によるものでしたか?

YESNO 最初は明確に望んでいました。望んでいたのですが・・・

はい

難病が完治してから死んだことは重要ですか?

YES しかしそれまでにいろいろな迷いはあったようですが・・・

はい

手術が完了した後、彼は絶望しましたか?

YES その時、彼は深く深く絶望していました。

いいえ

手術の際、彼は体の一部を失いましたか?

NO 体は失いませんでしたが、もっと大事な何かを失っています

手術前に比べて彼に対する人当たりは悪くなりましたか?

YESNO 手術前後から不安は感じていたようですが・・・

人を愛する心を失いましたか?

YESNO 彼にそもそもそんな時間があったかどうか… …おっと。

いいえ

記憶喪失は関係しますか?

NO 彼は一切の記憶を失っていません。しかし…

彼は手術によって視力を回復しましたか?

YESNO 病気と治療結果は関係ありません

彼に家族はおらず、病院のスタッフが家族のようなものでしたか?

YESNO 彼の年齢を考えるとそうとも言えますが…それは直接的な原因ではありません。しかしいい質問です。

いいえ

手術後、彼は隔離されましたか?

NO むしろ術前からずっと無菌室に隔離されていたようです。病気が病気ですからね。

いいえ

病気は感染病ですか?

NO 感染はしません。むしろ彼を他の病気から守るための隔離です。

いいえ

難病を治療した医療スタッフが亡くなりましたか?

NO 医師は存命です。病気は感染しません。

いいえ

珍しい病気のため実験体のようにされましたか?

NO ですが彼の心情としてはそれに近いものはあったかもしれません。

いいえ

カニバりますか?

NO カニバりません

いいえ

生まれた直後から入院していたため数年後とかに退院したものの世の中になじめず自殺しましたか?

NO ですが非常に近いです。生まれた直後は健康体でした。

いいえ

治療後昏睡状態に陥り、何十年も寝ていましたか?

NO 昏睡状態にはなりませんでした…しかし、何十年の経過は正解です

いいえ

むしろ、手術をすることで植物人間状態から脱しましたか?

NO 彼はずっと意識がありました

いいえ

手術して、病院の無菌室から出られない体になりましたか?

NO 彼は健康体に戻ることができました。しかし別の見方をすると、ある意味無菌室から出ると…おっとこれ以上は。

いいえ

治療した側に悪意はありますか?

NO 一切の悪意はなく、彼らは医療従事者としての義務を果たしただけです。

いいえ

手術時間が何十年もかかりましたか?

NO しかし非常に惜しいです もうあと一歩!

いいえ

手術後、彼は投薬療養をしていましたか?

NO 手術後どうなったかはあまり関係ありません。むしろ術前のほうに原因があります。ちなみに術前には投薬治療をしていました。

はい

彼の年齢は関係しますか?

YES!! 非常に関係があります!!

はい

彼は老人ですか?

YES 彼は既に老人になっています。

いいえ

彼は老人ですか?

NO 彼は自殺しました。

いいえ

彼は無菌室から出ましたか?

NO 結果的に彼は無菌室から出ることなくなくなりました

はい

手術前は成人ぐらいの年齢でしたか?

YES!!当時彼はまだ高校生でした!

いいえ

術後の経過観察で、何十年も無菌室に軟禁状態でしたか?

NO 彼が自殺したのは術後すぐです

はい

彼の病気が手術で完治したことを、治療した側は認識していましたか?

YES 手術は間違いなく成功でした。

いいえ

手術後、彼は他の人間よりずっと早く歳を取るようになってしまいましたか?

NO 時間の流れは正常なままでしたが、術後の彼は老人の姿です

はい

長年の隔離により手術後彼は孤独でしたか?

YES きっと彼には同年代の人が持っているであろういろいろなモノがなかったのでしょう。

彼の両親は生きていますか?

YESNO 生きていても不自然ではありませんがおそらくかなりの高齢です。

いいえ

入院直後の彼に恋人はいましたか?

NO 彼にそんな余裕も時間もありませんでした。

はい

彼は同年代の人が持っているであろういろいろなモノが欲しかったのですか?

YES 欲しくて欲しくてたまらなかったのでしょうね。彼にはもう絶対に手にすることのできないものばかりでしたが。

はい

核心彼が高齢になってから、彼の病気を完治させる治療法が確立され、病気が完治したものの高齢で寿命までわずか。そんな人生を悲観して自殺しますか?

YES

はい

彼が欲しかったのは奥さんや子供などの家族でしたか?

YES 彼はそういう未来を望んでいました。

答え

黒野十真は、高校三年生の時にとある難病を発症する。
既に就職も決まりこれからという時期であったが、当然まともに働くことなど出来るはずもなく、彼は断腸の思いで就職を蹴り治療に専念することになった。
しかし十真の病は世界でもごく少数が発症する、まさに難病中の難病である。
当時の医療技術では完治はおろか治療すら難航を極める状態であった。

それでも彼は、いつか自分の病気が治ると信じて、薬で病の進行を遅らせその時を待つ。

10年が経過した。薬の品質が上がり、進行を遅らせる精度がさらに上昇した。
20年が経過した。病気の正体がようやく掴め、病を発症させたマウスを治療することに成功した。
30年が経過した。マウスの治療からようやく人間に応用できる段階まで技術が進歩した。

35年の時を経て、待ち望んだ十真の番がやってきた。
長年自分を苦しめた病魔との決別は十真にとって何よりの希望であったが、同時に彼の心に小さな暗雲をもたらす。

「僕が健康になったところで、はたしてまともに生きられるのだろうか」

17歳の頃から35年が経過した。
高校生だった十真は既に52歳になっていた。
35年間、何をしていただろうか?
17歳の頃からずっとベッドの上に居た。
外に出ることも許されず、一人の力では何もできず、ただ、横たわっていただけだった。

「きっと無理だ。治ったところで、僕はもう老人じゃないか」

そんな十真の絶望も知らず、ついに手術の日はやってくる。
新進気鋭の天才医師が、直々に十真の手術をしてくれるそうだ。そう周囲は囃し立てる。
よかったね、おめでとう、十真の心中も知らずに。









手術が無事成功して数日後。
往診にやってきた医師は、ベッドの上で眠るように死んでいる十真を発見した。
その枕元には彼が「眠れない」と数日にわたって要求した睡眠薬の空袋と、遺書と書かれた茶封筒が一つ。


黒野十真 享年52歳

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