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「きゃろらいんちゃろんぷろ…えっとなんだっけ?」「29ブックマーク」

[植野] 2012年05月20日17時36分
るところに物忘れのひどい男がいた。
年の頃は四十がらみ、身寄りもなく、住み込みで世話をしてくれる家政婦とともに街のはずれでひっそりと暮らしていた。

「晩御飯はまだかね」
「はいはぁい、晩御飯はさっき食べたじゃありませんか」
「そんな馬鹿な、儂は覚えていないぞ」
「そうでしょうとも…本当に物忘れのひどい人ですねぇ」

男の家ではこんな会話が日常茶飯事だった。


しかしある日から男の物忘れは解消された。
そして、街に一つのニュースが駆け巡った。


この状況を補完してください。



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残酷な描写がありますので、注意してください。








はちらりと時計を見ると、日課になった言葉を呟いた。

「晩御飯はまだかね」
「はいはぁい、晩御飯はさっき食べたじゃありませんか」
「そんな馬鹿な、儂は覚えていないぞ」
「そうでしょうとも…本当に物忘れのひどい人ですねぇ」
「何、儂はそんなに耄碌しとらん。忘れたりせんよ」
「あらあら、そうですか?」

家政婦は洗濯物を畳みながら、あしらうように会話に応じ
た。山と積まれた洗濯物にかかりきっている彼女は気付い
ていないが、男はとぼけたような眼を一瞬冷ややかに細め
た。

(そうやって油断するがいいさ、お前のしたことは判って
いるんだ……)


――――――**


男は若い頃に家族を失った。大事な大事な一人息子が行方
知れずになったのだ。

まだはいはいを覚えたばかりの幼い息子、その面倒を見て
いるはずだった雇われの家政婦は、猿ぐつわをかまされ、
柱に縛りつけられた状態で発見された。

『黒服の男たちが押し入ってきて…坊ちゃんが…』

涙ながらに語る家政婦は、その日以降、心労を理由に雇用
契約を破棄してきた。犯人の足取りは全く分からず、自分の分身とも言える息子を失った妻は、ある日屋根裏で首を吊った。
「不幸の連鎖」という名で処理されたその一件は、男をこ
の上なく孤独にした。

しかし、事件から十数年経ったある日の新聞の記事に、男は目を疑った。
【貧しさの中で高校への特待生進学、母と息子二人三脚の人生】という見出しで、とある親子のインタビューが掲載されている。
そこに映っていた少年は、幼いころの自分にそっくりだった。まさか、いや、この少年は……失踪した私の息子に違いない!

そして隣で寄り添って笑うのは――いつかの、あの家政婦だった。

男の歓びは一瞬でかき消えた。歪なパズルのピースが嵌まる思いだった。あれは、あの事件は、狂言だった。外部犯の物盗りに見せかけた純然たる誘拐だったのだ。

息子に会いたい、一目会って自分が本当の親だと告げて、妻の分まで抱きしめたい……そんなささやかな想いが、どす黒く塗りつぶされていくのが判った。
白黒写真で微笑む家政婦を睨みつけた。もはやただ息子を取り返すだけでは気が済まない、この女に地獄の苦しみを味わわせたい。

――その時から男は復讐の鬼になった。

有り金をつぎ込んで整形し、別人の相貌を手に入れ。
喉をつぶし、声でわからないように。
探偵に調べさせ、女がまたのうのうと都市部の家政婦の派遣会社に登録し直したことを突き止めた。
長い時間と恨みつらみを押し固めて、準備は整った。
あとは女を雇い、最も近い場所で、朝から晩まで監視するだけだった。

――――――**


いつも通り、夕食はとっくに済んだとなだめすかされ(そんなことは百も承知だ)、男はソファに体を深く沈めた。家政婦は洗い物を終えてから、毛糸玉を二、三個抱えて傍に腰を下ろした。

いつも通りの光景のなかで、男は瞼をうっすらと伏せた。そうして、あくまで自然に、うとうとと眠りに落ちる寸前を装いながらぽつりぽつりと家政婦に語りかけた。


「…きみは、編み物をするのかい…」
「ええ、毎日こうやって編んでますけど、ほんとに覚えてないんですねぇ」
「なかなか…上手いものだね…」
「チョッキでもセーターでもなんでもござれですよ、子どもなんかはすぅぐに体が大きくなるからね、手直しした方が余計なお金がかかりません」
「子どもか……きみは…子どもが、いるのかね…?」
「ふふ、聞いたってすぐ忘れちゃうじゃあないですか」
「なぁにを…馬鹿を言うな、儂は忘れたりせんよ…」
「そうですか? まあ何を言ったってどうせ覚えてませんものね……ええ、もう大きくなって一人立ちしましたけど、男が一人ね」
「……そうか、どんな子だい……」
「孝行息子ですよ、父親がいなくてもしっかり親の言うこ
とを聞いてくれて。」
「そうか…、どうして、父親がいないんだね…?」
「え? …まあ、ねぇ、養子みたいなものですよ」
「……ほぉ、養子」
「ちょっとね、昔、知り合いから借りてきたんです」

くすくすと笑って編み物をする家政婦は、ソファに凭れて
いた男がその身を起こしたのに気付かなかった。

「緩んだな」
「ふふ……――え?」
「気が、緩んだな」

部屋の明かりを反射して、鋭い銀色が閃いた。

「お前の一言一句、最初から最後まで、全て憶えているよ」




翌日、警官が男の家に詰めかけた。あっという間に街の全域へとニュースは駆けていった。
街はずれのその家の一室には、女性の惨殺死体がおぞましい方法で到る所に、縦横無尽に、一切合財をばらばらにして飾り付けられていた。大事なパーティーの準備をしようとして、最後まで用いるべき材料を間違えていることに気付かなかったかのように、その部屋は完璧な赤に染まっていた。

カーペットの中心には、「ハッピーバースデー、我が最愛の息子。」

家主の男はどこに消えたのだか、杳として知れない。

「酒と泪と男と車」「29ブックマーク」

[ディダムズ] 2013年04月09日21時02分
ある大通りで、警察が検問を行っていた。
「はい、息吐いて。 あ~、これは基準値超えてますね。」
呼気からのアルコール検出を告げられた湯谷は困惑していた。
彼は皆から尊敬されるほどの真面目な男、酒なんか一滴も飲んでいなかったからである。
それにもかかわらず、彼は飲酒運転をしたとして警察に連れて行かれた。

一体、何故?


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解説】
ある木曜日の夜、湯谷のタクシーにスーツ姿の男が乗り込んできました。
指示した行先は西亀駅、いつも通り湯谷は車を走らせました。
ところがこの男、連続殺人の容疑で指名手配されている亀林でした。
ピンと来た湯谷は、ひそかに無線で警察に通報します。
しかし、亀林がタクシーに乗っているという情報は得た警察は、彼をどう確保するか考えあぐねていました。
タクシーを尾行するなどして亀林を刺激すれば、運転手の湯谷に危害が及ぶ恐れがあったためです。
そこで、警察は大通りで検問を行うことにしました。
飲酒検問を装って車を順番にとめて行き、湯谷の番になるとあくまで自然に飲酒運転の容疑をかけました。
再検査をすると言って彼を車外に連れ出した隙に、警察官が車に突入しました。
この作戦は功を奏し、犯人の亀林はすぐに逮捕、湯谷も無事で一件落着ということでした。

「【どうしよう…】」「29ブックマーク」

[のりっこ。] 2015年01月23日10時08分
『チョコレート7個しか入ってない…』

男はとても困った。

一体なぜ?




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月14日。

いつもの様に登校したカメオが下駄箱を開けると、
そこには7箱のチョコレートが入っていた。

(…そっか、今日はバレンタインデーか…)



……………カメオは下駄箱の奥まで覗き込んだのだが……………



カメオ『チョコレート7個“しか”入ってない…



………俺の上履きがない………』

(´;Д;`)



「完璧採点ミス!」「29ブックマーク」

[とかげ] 2015年01月24日21時06分
業の最後に、先生は確認テストを行った。ところが、正しく答えた生徒には×、間違いを答えた生徒や、無回答の生徒には○をつけた。
先生、それ逆じゃない? どういうことなの?


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り5分で授業が終了というところで、先生はおもむろにプリントを配り始めた。
「では、これまで勉強してきた内容を、皆さんがわかっているかどうか、確認テストをします」
ええっとざわめく生徒達だったが、手元にきたテストを見て、生徒達は安堵した。テストはたった1問で、しかも授業を聞いていなくても答えられる質問だったのだ。確認テストは5分どころか3分もかからずに終わった。

一週間後の授業で、先生は採点をし終わった確認テストを返却した。返されたテストを見て、一人の男子生徒が、先生のもとへテストを持ってきた。
「先生、僕、問題にちゃんと答えたのに×でした。採点ミスではないですか?」
「いいえ、採点ミスではありませんよ」
抗議に来た生徒だけでなく、教室にいる生徒達全員を見渡す。
「皆さんは授業をきちんと聞いてくれる、いい生徒達だと思ってします」
けれど、と先生は意味ありげに笑う。
「皆さんの一番の欠点は、『人を信じ過ぎること』のようですね」
その言葉を聞いて、首をかしげる人と、訳知り顔でにやにや笑う人と。前者は最後の問題で×をくらい、後者は○をもらった生徒達だ。
まだわからない様子の数名を見て、先生は苦笑しながら続けた。
「パスワードを人に教えてはいけない。これは、セキュリティの基本ですよ?」

これは情報の授業。ここ数回、授業ではセキュリティに関して勉強してきていた。そして、確認テストの問題は、「あなたが学校で使っているログインパスワードを教えてください」だった。

END


情報の授業のテストで、「パスワードを教えてください」という質問に対し、本当にパスワードを書いた生徒を×、間違ったパスワードを書いたり、答えを書かなかったりした生徒を○にした。授業で、「パスワードを他人に教えてはいけない」と教えてきたからだ。

「たったひとつのマシなやり方」「29ブックマーク」

[牛削り] 2015年12月26日17時00分
関ホールで立ち尽くす妻と息子と、見知らぬ男。
見知らぬ男は倒れていて、その背中にはナイフが突き立っている。
その様子を見たガクは、ナイフが見知らぬ男ではなく息子に刺さっていればよかったのにと思った。

何故だろう?


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が会社から帰宅した時には、すべてが終わっていた。


年末の片付け仕事を終え、久々の定時退社に心を浮かせた学は、息子の大好きなパイナップルのケーキを駅前で買い、スキップせんばかりに家路を急いだ。

高校受験を控えた息子は最近無口で、あまり顔を合わせていない。
今日はケーキをだしに、無理やりにでも話をしよう。勉強の悩み、将来のこと、恋バナだっていい。
それに国語はからっきしだが、数学や理科ならお父さんだってまだまだ教えてやれるんだぞ。

商店街を抜け、マンションの立ち並ぶ通りを行く。角を二つ曲がる。クリスマスの名残か、あちこちの家の前に安っぽい電飾が輝いている。
公園には気が早く、「新年餅つき大会のお知らせ」なんていう貼り紙がしてある。
妻が無類の餅好きだったことを思い出し、顔がほころぶ。また正月太りするんだろうな、あいつ。

我が家は公園を越えて二軒となり。
駅から少し遠くても、家族で過ごせるリビングの広い家がいい。妻の意見に共感して、必死で働いて建てた念願のマイホームは、ちょっとした自慢だ。
ありきたりだが、自分たちは今間違いなく幸せで、その幸せはまだ始まったばかり、学はそう感じていた。

家の前に立った時、学は妙な胸騒ぎがした。門が半開きで、普段は点いている玄関の灯りが点いていない。
首を傾げつつドアを開ける。鍵は掛かっていなかった。

真っ暗な室内を、向かいの家の電飾がかすかに照らす。学はそこに、三人の人間の姿を見た。
立ち尽くす妻と、息子と、見知らぬ男。
息子と男は倒れていた。
学は後ろ手にドアを閉め、電気を点けた。
「おい、どうしたんだ。何があった?」
妻は焦点の定まらない目を学に向けた。口の中で小さく「あなた」と言った。
学は落ち着けと自分に言い聞かせ、状況を確認した。

まず、息子。
仰向けに倒れていて、左脇腹から出血している。流れ出た大量の血液が、床と壁を汚している。顔は……見たくなかった。
近付いて手首を触る。身体はまだほのかに温かいが、脈は、無かった。

見知らぬ男は、玄関のドアに向かってうつ伏せに倒れている。背中にはナイフが突き立っている。ナイフは我が家には無い種類のものだ。
男の出血は、着ているセーターをジワリと染める程度であった。息があるかどうかは、学には興味のないことだった。

妻は、その場に立ち尽くし、小刻みに震えていた。怖かったのだろう。
彼女の部屋着は、利き手である右腕を中心に、血にまみれていた

学は状況を理解した。
「いきなり、その人が──」
「わかってる」
妻に理性を取り戻させたくはなかった。

状況が物語っているのは、こんな筋書きだ。
強盗か変質者かわからないが、見知らぬ男が、ナイフを持って我が家に押し入った。対応に出た息子が刺され、その場に倒れた。
それを見た妻が錯乱し、息子の脇腹に刺さったナイフを引き抜き、逃げようとする男の背中に、突き立てたのだ。
妻は大量の血に怯えて理性が働かなくなり、息子と男は倒れたまま動けなくなった。

学はこんなショッキングな光景を前に、不思議に、頭が冴えていくのを感じた。すぐに、これは夫としての本能なのだと確信した。

今、妻を守れるのは、自分しかいない。

身体に刺さった刃物を抜けば、出血多量で死に至る。冷静に考えればわかることだ。
息子の死を早めたのは、妻かもしれないのだ。彼女がその事実に気づいた時、どれほど悲しむだろう。
学の頭脳は、すぐにたったひとつのマシなやり方を弾き出した。

学は、男の背中からナイフを引き抜いた。
最後に妻を引き寄せ、片手にナイフを握ったまま、抱きしめる。

「大丈夫だよ」

自分の声はこんなに優しかっただろうか。
妻の震えが少し治まったような気がした。

幸せだった。
自分たちは間違いなく、幸せだった。



学は血に塗れたナイフの切っ先をもう一度見つめると、力一杯突き付けた。


どこへ? 喉元へ。



誰の?




【要約解説】
ガクは、見知らぬ男が息子を刺し、そのナイフを妻が引き抜いて男を刺したと推理した。
妻がナイフを引き抜いたせいで、息子の出血が早まった可能性がある。
ナイフが見知らぬ男ではなく息子に刺さったままの状態であれば、最悪の事態は避けられたのかもしれない。