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「あくまでこいして」「34ブックマーク」

[とかげ] 2015年03月04日22時27分
院に来るとき、女は必ず医者に紙きれを見せていた。
ある医者はそれを見て、驚いた。
「これは……悪魔の契約書ですね」
女は微笑んだ。
「はい。家の中で外の世界に憧れるだけだった私が、おかげでこんなに元気になりました」
そして、女はその医者に恋をした。

どういうことだろう?


*これは、さるぼぼさんの素敵な挿絵から連想してつくった問題です。


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い頃に母親を病気で亡くした少女にとって、医療や科学技術なんてものは、信頼に値しなかった。
治療だ入院だと、家族の時間を奪っておいて、結局のところ母を救えなかった医者達には、恨みしか覚えていなかった。

母に似て病弱だった少女は、それまでも家の中に閉じこもりがちだったけれど、母が死んでからは余計に医者にかかることを嫌がったために体調の悪い日が続き、外に出られない日々を過ごしていた。そしてついに母と同じ病気に倒れたときも、治療や薬を拒絶した。
何人もの有能な医者が説得にあたったが、彼らの言葉に耳を傾けることはなかった。
日に日に衰弱していく少女のもとへ、ある日、若い医者が訪れた。医者嫌いの少女の噂を聞いて、自分にできることがあるならば、と志願したのだ。
彼はまだ経験も乏しい新米の医者であったが、少女を救いたい一心の父は、経歴などもはや気にしている場合ではなかった。

若い医者は、少女が寝ている間に部屋に隠れ、夜中に彼女を起こした。
目を覚ました彼女の目に飛び込んできたのは、外の街灯にぼんやり照らされた、真黒な服の痩せた男だった。
「……誰? 誰なの?」
怯えたように聞く少女に、医者は落ち着いて答える。
「俺か? 俺は、悪魔だ」
病弱な少女は、友達と遊ぶこともなく、家の中で本ばかり読んできた。母の死から医療や科学に疑いを持っていたため、非科学的な錬金術や悪魔に関する本は、いくつも読んだことがあった。そして、世間を知らない少女は、大変純粋でもあった。
「契約しに来たの?」
暗い部屋の中で、黒い服の男は、輪郭がはっきりせず、得体のしれない者にも見えた。
悪魔と名乗った医者の言葉をすんなり信じ、悪魔の契約のことを思い出した少女は、黒服を着た若い医者にそう尋ねた。
医者は……悪魔は、うすら笑いを浮かべた。
「よく知っているな……そうだ。苦しんでいるようだから、それを救ってやろうと思ってな」
「救うだなんて、嘘よ。私の命が欲しいだけなのでしょう?」
「見返りにな。しかし、それは10年後でいい」
暗闇に慣れてきた目で、少女は悪魔の表情を探る。悪魔は先ほどから変わらず、ただうすら笑いを浮かべるだけだ。
「悪魔の術で、お前の病気を治してやる。そうすればお前は、外で他の子ども達がしているように駆け回ることだってできるようになるし、学校に休まず通って、好きな勉強を続けることもできる。友達をつくることだって、誰かと恋をすることだってできるようになる」
窓から外の世界を眺めてきた。家の中にいても、本を読んだり父と話したりして、色々なことを学んできたけれど、少女にとって外の世界は憧れでもあった。
「お前はもうすぐ死ぬ。本来ならば、助からない命だ。それを助けて、10年間、普通の生活ができるようにしてやるんだ。こんなに条件の良い契約はないと思うが?」
確かに、悪魔の誘いは、魅力的だった。
「……助けて。私を助けて。10年後に、私の命をあげるから。10年間、普通の暮しをしたい……!」
「よし、契約成立だ」
悪魔は少女に近づいていき、悪魔の契約書にサインさせた。これが夢でない証拠になる、と、1枚を少女に渡し、もう1枚の契約書を自分の懐に収めた。そして契約の証だと言ってグラスの水を飲ませた。その水には治療に必要な薬と睡眠薬が溶かされており、素直に口にした少女は、すぐに眠りに落ちた。
寝ている間に悪魔は……医者は、少女の部屋を後にした。

それから、悪魔の治療が始まった。魔界の食べ物だと言って怪しげなスープをつくっては、中に薬を混ぜ込んで飲ませ、魔族の呪術だと偽っては、少女の診察を行った。悪魔はいつも唐突に、皆が寝静まった頃少女の部屋に現れ、毎度夜中に起こされる少女は、いつも暗闇の中悪魔の治療を受けた。治療の後は、最初の契約のときと同じように、睡眠薬で眠らされた。悪魔は自分が悪魔であることに疑いを抱かれぬよう、演出にはこだわった。もしどこかで違和感を覚えられてしまったら、完治する前に少女が治療を拒みかねないからだ。

少女に悟られぬよう、新米の医者が細々と続けた治療の甲斐あって、少女は1年後にはすっかり元気になっていた。病気の重かった母は助けられなかったが、まだ若い少女は母よりも体力があったし、早期に治療できたため、現代の医療で十分治すことができるのだ。
少女の父は若い医者に心から感謝をし、ぜひこのまま主治医になって貰いたいと願ったが、治療が終わった医者は、最後まで悪魔であり続けるために、少女に別れも告げずに突然去った。
悪魔がぱたりと現れなくなったことで、少女は自分の病気が治ったことを知り、残りの時間を精一杯過ごすことに決めた。



そして、あの契約から10年後。

病院にやってきた女は、医者に古びた紙きれを見せるのが習慣になっていた。医者に不振がられてばかりだったが、その日は違った。
その日の担当の医者は、不審に思いながらも促されるままにその紙きれを受け取り、驚いた。
「これは……悪魔の契約書ですね」
その言葉を聞いた女は、満足そうに微笑んだ。
「はい。家の中で外の世界を羨ましがるだけだった私が、おかげでこんなに元気になりました」
大人になった元少女が、医者としての経験を重ねた元悪魔の顔を覗き込む。
「ようやく見つけました……あなたは、私の命が欲しいと、そう言ったはずでしょう?」
勉強を積み、世間を知り、窓の外の世界へ飛び出した彼女は、もはやすべてを悟っていたが、悪魔の契約を破るつもりはなかったのだ。

「10年経ったのに契約通りに取りに来ないから、私から来てあげたのよ」

艶やかに笑う彼女は……悪魔に恋した彼女は、悪魔のように恐ろしいほど、美しかった。

END

医者嫌いの少女は治療や薬を拒絶したため、ある医者が自分は悪魔だと名乗り、悪魔の術で少女を治す代わりに、10年後に少女の魂をいただくという契約を交わした。10年後、すべてを悟った元少女の女が、元悪魔の医者を探すために、契約書を持って病院を巡っていたのだ。

「不正発覚」「34ブックマーク」

[とかげ] 2015年06月10日23時03分
期試験でいつもより高得点を取ることができた少女は、「お母さんに怒られる……」と大慌てだ。
どういうことだろう?


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ストの点数が102点だったため、親に今までのテストも100点満点ではなく200点満点であったことがバレるから。

「大好きなハンバーグ」「33ブックマーク」

[藤井] 2010年10月07日22時37分
日の晩ごはんはコウタの大好物のハンバーグだ。
キッチンから漂ういい匂いに彼は心を躍らせていた。

しかし食卓についた瞬間、コウタは歯を食いしばった。
一体なぜ?


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ウタの父親は、コウタが3歳の時に妻と離婚をした。そして間もなく再婚をする。
再婚相手である母親はどうしてもコウタの事を心から愛せずにいた。
そして再婚後の二人に宿った弟ユウイチの事を二人はコウタの何倍も可愛がっていた。
兄弟げんかをしていても咎められるのは必ずコウタの方。二人が同時に泣いていてもあやされるのはユウイチばかり。
身体的な虐待こそなかったものの、コウタは深く傷ついていた。

しかしコウタは母の作る美味しいごはんがとても好きだった。
今日の晩ごはんはどうやらコウタの大好物のハンバーグだ。キッチンからいい匂いがする。
コウタは母に疎ましがられないように部屋の隅で静かに座りながら、密かにわくわくしていた。
けれど今日はユウイチが風をひいて部屋で寝込んでいる。母は焼きたてのハンバーグと温かいごはんをユウイチの部屋へ運んでいったようだった。
コウタは早く食べたい気持ちを必死に抑え、大人しくじっと待っていた。

どれほどの時が過ぎただろう?
待ちくたびれたコウタに母が「コウタ、ご飯置いとくから。早く食べてね」と素っ気なく声をかける。
飛び跳ねるように急いで食卓につくと…ドキリ、大きく脈打つ心臓。目の前にあるのはなんとユウイチの食べ残しのハンバーグだったのだ。
言葉に出来ないほどの屈辱感にコウタは歯を食いしばる。いびつな形のそれにフォークを刺して一口食べると、ひんやり冷たい。
ほかほか焼き立て、まんまるのハンバーグは?僕の分はないの?

コウタは黙って食べ残しのハンバーグを完食し「…ごちそうさま、」と食卓を後にした。
握りしめた拳に爪の跡が残る。けれどそれよりもずっとずっと、心が痛かった。

「読んでいる本は?」「33ブックマーク」

[+チック] 2013年03月01日01時55分
れは私と息子の日常風景。

「ねえねえ、お父さん?」

「何だい?」

「最近、よく本を読んでるね?」

「ああ、お父さんは読書が好きなんだ」

「何の本なの?」

「ないしょだ」

「ええー、教えてよー!」

「じゃあね、当ててごらん。当てられたら教えてあげるよ」

「わかった!」

ということで、私の読んでいる本とは何でしょう?
20の質問で当ててください。
嘘はつきません。


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の本当の息子は一年前に交通事故で亡くなった。

私を悲しみのふちから立ち直らせてくれたのは、一体のロボットとの出会いだった。
それは自律学習が可能な高性能の子供型アンドロイドで、記憶も容姿もすべて亡くした息子のままよみがえってくれるのだ。

大金が必要だったが、私は息子を取り戻す一心で購入を決めた。

今、説明書で慣れない扱い方を理解しながら、あたかも戻ってきたかのように感じる息子との時間を大切にしていた。

「えー、わからないよ」
「今はまだ、わからなくていいよ」
「もう、お父さんのいじわるー!」

そう、まだ知る必要のないことなんだ。
いつの日か、自分で気づいたときに教えよう。

それでもずっと私の大切な一人息子には変わらないよ。

ということで正解は【息子(アンドロイド)の取扱説明書】でした。

「【ラテクエ 32】 一秒一秒が命がけ」「33ブックマーク」

[ディダムズ] 2013年07月27日21時26分
衣を着た私は近くの店でかき氷を頼んだ。
出てきたかき氷に、しかし私はすぐには手をつけない。
辛抱強く、全てが水に戻るまで待ってから、私は初めてスプーンを手に取った。

一体何故?


supported by アザゼルさん


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ある夏の夜、夏美は弟と夏祭りに行きました。
焼きそばを食べたり、金魚掬いをしたり、縁日を楽しむ二人は、近くの屋台で一緒にかき氷を買いました。
ところが、かき氷を食べようとした弟が、手に掛けた金魚の袋を落としてしまいます。
金魚たちは水から地面に放り出されてしまいました。
「かき氷は持っててあげるから、落ち着いて拾ってあげて。」
弟は苦しむ金魚を拾っては、袋の中に残った水へと戻していきます。
(これがホントの金魚救いね・・・。)
2つのかき氷で両手は塞がっていますし、懸命に金魚を助ける弟を思うと、自分だけ先に食べるわけにはいきません。
全ての金魚が水に戻るまで待つと、夏美は弟にかき氷を返し、スプーンを手にとってかき氷を食べ始めたのでした