「よし出来た!さぁ、出題しよう!」とお思いの貴方、ちょっと待ってください。
その問題、本当に人を楽しませることができますか?
安心して下さい、反面教師、揃ってますよ。
注意
ここにある問題例[1]は、「万人が悪いと思うもの」でも「公式で悪いと言われているもの」でもありません。
「多くの人が悪いと思うもの」ですらないかもしれません。
なぜなら、「問題の良し悪し」は個人の感覚によるものであり、絶対的に評価することは不可能だからです。
でも、ここにある問題が「悪問」だと思う人達がいるというのもまた事実です。
ここに集められた問題例と向き合い、"自分だったらどう思うか?このような問題を作りたいと思うか?"について考えてみるのは、きっと、出題を行うにおいて有意義なことでしょう。
[1] チャットルーム「ダメな問題の例」(ルームキー: ダメダメ, 作成者: 牛削りさん)
【問題】
太郎が勘違いして花子を慰めたせいで、花子に怒られてしまった。
どういうことだろう?
【解答】
成績が下がって落ち込んでいた花子に対し、
「人間は顔じゃないよ」
と声を掛けたから。
【どこがダメか】
問題文が通常の出来事なのでそもそも謎として成立していない。
無限大にある可能性のうち、解説のみを答えとする合理性がまるでない。
【問題】
たった一人の叔父が死んだ。
彼の遺品を生理しているとき、姉が私に声を賭けた。
「弔問のお客さんにお茶出して」
私が今に行くと、着ていたのは伯父だった。ピンピンしていた。
いったいどういうことだろう?
【解答】
死んだのは叔父。
弔問に来ていたのは伯父。
【どこがダメか】
叔父と伯父の漢字違いがトリックの主眼なのに、それ以外にも多数の誤字がある。
最後の「伯父」も、参加者は気付いていながら誤字のうちのひとつと読み流すかもしれない。
【問題】
殺人事件が起きた。
指紋や動機等から、犯人は草薙博士に間違いないのだが、彼には鉄壁のアリバイがある。
犯行時刻に、東京にある犯行現場から遠く離れたニューヨークにて、友人たちと会合をしていたのである。
しかも、犯行現場は完全な密室であった。
いったいどういうことだろう?
【解説】
草薙博士は、瞬間移動を可能にする機械を開発していた。
これを用いて、友人たちの目を盗み、現場と会合会場とを行き来していたのである。
現場が密室になったのは、そうと知らずに博士が室内に直接瞬間移動していたからだ。
【どこがダメか】
このような便利装置をなんの伏線もなく出すことを認めたら、なんでもありになってしまう。
なんでもありになると、ラテシンが壊滅的につまらなくなる。
【問題】
安藤は通り魔に刺されて死んでしまった。
にも関わらず、彼はすぐに起き上がり、その場を後にした。
どういうことだろう?
【解答】
安藤はドラマのエキストラである。
被害者役が終わりクランクアップとなったので帰宅した。
【どこがダメか】
「そういう演技でした」「そういう夢でした」はもうお腹いっぱい。
また、「死んでしまった」は虚偽のためアンフェア。実際には死んでいない。
【問題】
オリンピックで優勝したこともあるキヨシは、栃木出身の妻が手渡してくれた弁当箱が空っぽだったのを見て喜んだ。
何故だろう?
※この問題は、牛削りさんからもらった「オリンピック」「栃木」「空っぽ」というお題を元に作りました。
【解答】
「あ、ちゃんと全部食べてくれたんだ」
スポーツ選手を引退したキヨシは現在、専業主夫として修行中である。
頑張って作ったお弁当を、OLである妻が残さず食べてくれたのを見て、キヨシは喜んだのである。
夫婦の形は少し変わっているかもしれない。
しかしいいのである。
そこに愛さえあれば。
【どこがダメか】
お題のうちの二つが無意味。
お題を無理やり入れたせいでせっかくのネタが台無しである。
【問題】
飯塚は見るために食べた。
どういうことだろう?
【解答】
飯塚は肉じゃがを作っていた。
味を「見る」ために、肉じゃがを「食べた」のである。
【どこがダメか】
問題文が文法的に不完全(他動詞なのに目的語が不自然に欠落している)で、意味が伝わらない。
「飯塚はAを見るためにBを食べた。どういうことだろう?」の方がまだマシである。
【問題】
優しい嘘が彼の時間を止めた。
相手を想うが故に傷つけ合う二人はどこまでも堕ちて行くしかなかった。
どういうことだろう?
【解答】
花子に愛の告白をした太郎。
花子は太郎を傷つけまいと、彼のことを何とも思っていない気持ちを隠し、「私もあなたのこと好きだけど資格試験の勉強で忙しいから」と嘘をついた。
それを間に受けた太郎は花子の勉強が終わるまでひたすら待った。
3年以上の時が流れた。
太郎のことを風の噂に聞いた花子は、彼の執念が気持ち悪くなり、勉強に集中できず、試験に落ちた。
結局花子と付き合えなかった太郎は投身自殺した。
【どこがダメか】
問題文に比喩が多すぎて具体的な場面が想像できない。
登場人物たちの一般的でない感情がストーリーの主軸に関わっており、共感できない。
【問題】
完全無欠な邪神ヴァチカルを倒すにはどうすればよいだろうか?
【解答】
完全無欠であっても、ゲーデルの不完全性定理を応用すれば不完全な存在になる。
弱体化したヴァチカルをお好きな方法で殺せばよいのである。
【どこがダメか】
解説が意味不明。
「ゲーデルの不完全性定理」という格好良さそうな言葉を使いたかっただけだろう。
自分が十分には理解していない概念をこのように使うのは害悪である。
【問題】
靴を咥えていた少女が翌日死んだ。
どういうことだろう?
【解答】
少女はイジメを受けていたのだ。
クラス全員から殴られ蹴られ、汚物を踏んだ靴を咥えさせられた彼女は、辛さのあまり自殺した。
【どこがダメか】
胸糞悪くなるだけの解説だ。
読む者を不快にさせてまで届けたいトリックや物語性があったとは到底思えない。
【問題】
なんでも屋のチャーリーが
ぜんそく持ちのリチャードに
さっきからずっと
むくれているのは
いったいなぜ
【解答】
問題文の各行の頭を縦読みしてみよう。
「なぜさむい」が本当の質問だったのだ!
つまり答えは「冬だから」である。
【どこがダメか】
行頭を縦読みしなければならない根拠がない。
横読みの方が意味が通じる部分が多いのに、何故縦読みをした一部分のみが本当の質問になるのか。
【問題】
田中はエスカレーターを逆走しながら、「ヒュンガラモッケ、ヒュンガラモッケ」と連呼している。
何故だろう?
【解答】
田中は実はブロンド美女だったのだ!
【どこがダメか】
「ブロンド=馬鹿」などというのは独りよがりな価値観である。
万人が共感できるはずもない。
不合理な偏見を助長する有害な問題とも言えよう。
【問題】
新米営業部員の沼田が私の目を見て質問に答えたので、私は彼が営業向きではないかもなと思った。
何故だろう?
「質問ルール」
・必ず質問ではトリビアを披露してください。
トリビアがなかったり、既出だったりした場合、質問には答えません。
・偶数番目の質問は、良い質問であっても良質をつけません。
・質問内で外来語を使うのはNG。誰か一人でも外来語を使ったら即非公開にします。
【解答】
私の方を見ながら、私がメールで送ったアンケートに回答する沼田。
彼のブラインドタッチの能力は、営業よりもパソコンに触れる機会の多い部所にこそ向いているのではと私は感じた。
【どこがダメか】
問題の真相に全く関係のない、無意味で複雑すぎる特殊ルールがついている。
これを見て参加を躊躇する人も多いだろう。
【問題】
さっき僕がスーパーで「なんでやねん」と突っ込んだのは何故?
※2分でテキトーに作ったので出来は悪いです。
【解答】
500円の商品に「1000円引き」というシールが貼ってあったから。
【どこがダメか】
悪問だとわかっているなら出題するな。
「これは腐っていますが」と言って出された料理を食べたいと思う人はまずいないだろう。
【問】
カメオは猫を踏んでしまった。
大事にしていた猫なのに、彼は悲しまなかった。
何故だろう?
【答】
大事にしていた漫画に書かれている「猫」という文字を踏んだだけだったのだ。
【どこがダメか】
「猫」が実は生き物ではなく文字だった、というトリックであるが、本当にこの場面で使うべきトリックだろうか?
猫が生き物だろうと文字だろうと、大事にしていたものであるなら杜撰に扱ったりはしないだろう。
カメオが「猫=生き物」なら悲しむし、「猫=文字」なら悲しまないというのは、単なる彼の偶然的なパーソナリティに過ぎない。
猫という文字を生き物だと参加者に誤認させる意味がない。
【問】
裏返しだったので、カメオの思うようにいかなかった。
どういうことだろう?
【答】
ETCカードが裏返しだったので、何度入れても「カードが読み取れません」と言われてしまうのだった。
【どこがダメか】
まず、問題文が文法的に不完全。
「裏返しだった」に主語がなければ、文全体として意味を完結できない。
そして、当問題が「裏返しだったもの=ETCカード」を当てさせる問題だとすれば、無意味な物当てだといえる。
何かが裏返しのせいでうまくいかない例など、腐るほどあげられる。
腐るほどあげられる類例の中からたったひとつの正解を見つけなければならない問題は、一概にダメ問題である。